200×200mm・2.0kgの大型重量部品に対応する実装技術を確立
FUJIは、AIサーバー向け大型重量部品実装技術として、1.3kg部品の実装を実現しました。さらにテストでは、200×200mm・2.0kgの大型重量部品まで実装可能であることを確認しています。
生成AIの急速な普及を背景に、AIサーバー市場は大きく成長しています。それにともない、GPUやHBMなどの高性能デバイスの採用が進み、基板や搭載部品にも大きな変化が生まれています。その結果、大型基板への対応や基板の反り対策、大型・重量部品の実装、高密度実装など、実装現場で求められる技術レベルはこれまで以上に高まっています。
本記事では、AIサーバーを例に、実装技術がどのように変化しているのか、その背景と実装現場で求められる対応について解説します。
1. AIサーバーがもたらす実装技術の変化
生成AIの普及を背景に、AIサーバー市場は急速に拡大しています。従来のサーバーではCPUが中心でしたが、現在はGPUを複数搭載した構成が一般的となり、HBM(High Bandwidth Memory)や高速インターコネクトなど、高性能デバイスの採用も進んでいます。
これにより、AIサーバーでは次のような変化が起きています。
・消費電力の増加
・発熱量の増加
・部品サイズの大型化
・部品点数の増加
こうした変化は、基板や搭載部品の設計だけでなく、実装現場にも大きな影響を与えています。わずかな位置ずれや実装精度のばらつきが品質や歩留まりに直結するため、これまで以上に安定した搬送、高精度な装着、高い品質保証が求められるようになっています。
AIサーバーは、電子機器の中でも実装技術への要求が特に高い分野であり、今後の実装技術の方向性を示す市場といえるでしょう。
AIサーバーの進化と実装技術への影響
CPU中心のサーバー
複数GPUを搭載し、
AI処理の並列性能を向上
HBM(High Bandwidth Memory)
大容量・高帯域メモリ
HBM(High Bandwidth Memory)
大容量・高帯域メモリ
GPU・HBM・高速通信を高密度に
統合し、さらなる高性能化へ
部品・基板の大型化、高密度化、高額部品の増加により
従来以上に「安定した搬送」「正確な装着」「高い実装品質」が求められる時代へ
2. サーバー基板の進化
AIサーバーでは、GPUやHBMに加え、それらを支えるCPUや電源回路、冷却機構も高性能化しています。そのため、AIサーバー基板の構成は従来のサーバー基板と比べて大きく変化しています。
例えば、GPUモジュールやCPUソケットは処理性能の向上にともなって大型化が進んでいます。また、電源管理や信号処理を担う周辺回路は複雑化し、コンデンサや抵抗などの小型チップ部品も増加しています。そのため、限られた基板スペースにより多くの部品を搭載する高密度実装が進んでいます。さらに、部品点数の増加にともない、基板は大型化・多層化・重量化が進んでいます。従来は一般的な実装設備の標準仕様で対応できていた基板サイズも、現在では標準仕様を超える大型基板が増えつつあります。
このようにAIサーバー基板では、「大型・重量部品の増加」、「高密度実装の進展」、「基板の大型化・重量化」が同時に進んでいます。
こうした基板構成の変化により、実装現場では従来以上に高度な対応が求められるようになっています。
AIサーバー基板の進化(従来サーバーとの比較)
AIサーバー基板では、「大型・重量部品の増加」「高密度実装の進展」「基板の大型化・重量化」が同時進行
3. 電子機器全体に広がる実装技術の変化
AIサーバーで顕在化している実装技術の変化は、電子機器業界全体に広がっています。
電動化やAI活用の進展により、各分野で基板や搭載部品の大型化・高密度化が進み、大型基板への対応や基板の反り対策、大型・重量部品の実装、高密度実装といった課題は、基板実装業界全体の共通課題となっています。
GPU、HBMの大型化
基板の大型化・高密度化
インバーター・ECUの大型化
高出力・高集積化
高性能画像認識プロセッサなど
部品が大型化
800Gネットワーク機器向け
大型ASICの採用
AI制御・高速画像処理の普及で
SoCやFPGAなどが大型化
「大型基板への対応」「基板の反り対策」「大型・重量部品の実装」「高密度実装」は、基板実装業界全体の共通課題
4. 実装現場で起きている変化と課題
AIサーバーをはじめ、車載機器や通信機器などの高性能な電子機器では、基板や搭載部品の変化にともない、実装工程全体でより高度な対応が求められています。特に、搬送から部品装着、品質保証まで、次のような課題が顕在化しています。
・大型基板では安定した搬送・実装が難しい
部品点数の増加にともない、AIサーバー基板は大型化・多層化・重量化が進んでいます。大型基板は自重によるたわみや搬送時の振動の影響を受けやすく、基板全体を安定した状態で搬送することが難しくなります。さらに、基板サイズが大きくなるほど、たわみや変形による位置ずれが生じやすく、実装品質へ影響を及ぼす可能性があります。
・大型・重量部品では高い実装精度が求められる
GPUモジュールやCPUソケットなどの大型・重量部品は、一般的な電子部品とは形状や重量、重心位置が大きく異なります。そのため、吸着や搬送時に姿勢変化や位置ずれが発生しやすく、安定した実装品質を維持することが容易ではありません。さらに、今後はAI半導体パッケージや光電融合(CPO)関連部品など、より大型・高重量の部品への対応も求められます。
・多様な部品への柔軟な対応が求められる
AIサーバー基板には、GPUモジュールやCPUソケットに加え、DIMMコネクターや大型コネクター、シールド部品など、形状や高さ、重量が異なる部品が混在しています。部品ごとに最適な吸着方法や装着条件が異なるため、多様な部品へ柔軟に対応できる実装技術が必要になります。
・高額部品では工程内での品質保証が重要になる
GPUモジュールやCPUソケットなどの高額部品は、不良が発生した場合の損失が大きく、リワークや部品交換にも多くの時間とコストがかかります。また、大型部品やシールド部品を装着すると、後工程では接合状態を確認しにくい場合もあります。そのため、検査だけでなく、実装工程内で装着状態を確認・記録し、不良の発生や流出を防ぐ品質保証が重要になります。
実装現場で起きている変化と課題
安定した搬送が難しい
ハンドリングが難しい
柔軟な対応が求められる
品質保証が重要になる
AIサーバー基板(イメージ)
5. 次世代実装設備に求められる要件
前章で紹介した課題に対応するためには、従来のように「部品を正確に装着できる」だけでは十分ではありません。AIサーバーをはじめとする高性能な電子機器の生産では、搬送から部品装着、品質保証までを含めた実装工程全体で、高い対応力が求められます。
これからの実装設備には、特に次の4つの要件が重要になります。
① 大型基板を安定して搬送できること
大型基板では、自重によるたわみや搬送時の振動を抑えながら、基板全体を安定した状態で搬送することが重要です。また、将来さらに大型化する基板にも対応できる搬送能力や、高い位置精度を維持できる機構が求められます。
② 大型・重量部品を安定してハンドリングできること
大型・重量部品では、部品の姿勢変化や位置ずれを抑えながら、安定して搬送・装着できることが重要です。また、今後さらに大型・高重量化する部品にも柔軟に対応できる拡張性も必要になります。
③ 多様な部品へ柔軟に対応できること
AIサーバー基板では、チップ部品から大型コネクター、CPUソケットまで、さまざまな部品が混在します。そのため、部品ごとの形状や高さ、重量に応じて、最適な吸着・認識・装着条件を選択できる柔軟性が求められます。
④ 工程内で品質を保証できること
高額部品では、不良品を後工程で見つけるのではなく、実装工程内で異常を検知し、装着状態を確認・記録することが重要です。検査だけに頼るのではなく、工程内で品質をつくり込む仕組みが、これまで以上に重要になります。
このように、次世代の実装設備には、大型基板への対応、大型・重量部品のハンドリング、多様な部品への柔軟な対応、そして工程内での品質保証を高いレベルで実現することが求められます。
次章では、これらの要件に対してFUJIがどのようなソリューションを提供しているのかをご紹介します。
6. FUJIが提案する大型基板・大型重量部品実装ソリューション
AIサーバーをはじめとする高性能電子機器では、大型基板や大型・重量部品への対応だけでなく、高精度な実装や工程内品質保証まで、実装工程全体で高いレベルの対応が求められます。
FUJIでは、こうした課題に対応するため、搬送から部品装着、品質保証までをトータルで支える5つの実装ソリューションを提供しています。
① 大型基板を安定して搬送する
・大型基板にも余裕を持って対応できる搬送機構
最大13kgまでの基板を搬送可能
・新しいキャリブレーション機能により高い実装精度を維持
② 大型・重量部品を安定して実装する
・大型・重量部品に対応した専用ユニット
・安定したハンドリングと高品質な実装を実現
プレスリリース 200×200mm・2.0kg 大型重量部品の実装技術を確立
③ 反りのある基板でも高精度に実装する
・部品ごとの装着高さや荷重を最適に制御安定したハンドリングと高品質な実装を実現
・基板の反りによる品質への影響を低減
高密度実装時代の品質課題を解決|「装着高さ調整機能」のご紹介
④ 多様な部品へ柔軟に対応する
・部品形状、挿入ピンの先端の正確な画像認識
・部品ごとに異なる装着高さ、搬送条件、装着荷重への対応
⑤ 工程内で品質を保証する
・3Dコプラによる形状不良部品、LCRチェックによる誤定数部品の排除
・装着荷重の記録によるトレーサビリティ管理
チップ部品の誤実装を防ぐ LCRチェック機能のご紹介
大型重量基板を安定搬送
新キャリブレーション機能
安定したハンドリング
大型部品に対応した供給ユニット
高精度に実装
基板の反り状態を把握
部品と基板の接触を検出後、部品をリリース
高さに適正な高度で装着
柔軟な対応
挿入ピン先端を正確に画像認識
3Dコプラによる形状不良部品、LCRチェックによる認定前部品の排除
実装前品質トレーサビリティ
AIサーバー市場の拡大にともない、実装設備には「部品を装着」だけではなく、実装品質と生産性を高いレベルで両立することが求められるようになっています。
FUJIは、大型基板の安定搬送、大型・重量部品への対応、高精度な装着制御、多様な部品への柔軟な対応、工程内品質保証を組み合わせることで、AIサーバーをはじめ、車載機器や通信機器、産業機器など、次世代電子機器の実装を支えています。
7. まとめ
AIサーバー市場の拡大にともない、実装現場では大型基板への対応や基板の反り対策、大型・重量部品のハンドリング、多様な部品への対応、工程内品質保証など、これまで以上に高度な実装技術が求められています。
こうした変化はAIサーバーだけに限らず、車載機器や通信機器、産業機器など、高性能な電子機器全体へ広がっています。これからの実装設備には、現在の生産課題に対応するだけでなく、将来の基板や部品の進化にも柔軟に対応できることが重要になります。